桐生高校同窓会
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首 都 圏 同 窓 会
平成30年度 首都圏同窓会  東毛三校 勉強会と懇親会

報告・野村 清(昭和30年卒)
元 桐高新聞編集長

日時:平成30年6月22日(金)17時~21時
場所:NEC 芝クラブ(三田ハウス)


出席者 敬称略
宮地 由高 本部会長。
4月に着任した 森泉 孝行 校長。 田中 哲二 太田高校 金山会長。
小林 信夫 館林高校同窓会東京会長。他多数。
会員の最高齢は昭和24年卒の高津啓介。
次は30年卒の野村。太田高校、館林高校出身の方とも懇談しましたが、高齢者が多い。大学や大学院の学生の参加は活気があって良かった。
若い会員ではバイオリンの伊藤みや乃(平成22年卒)他。


中沢秀夫首都圏会長(支部長)挨拶
元の職業柄経済のお話が入ります。「揺れ動く国内外の政治情勢をよそに、昨年から回復傾向を加速している日本経済。マクロ・ミクロの多くの指標で、既に史上最高の水準にあります。こうした中、AIや先端技術に必要な電子素子、デバイスの講演は大変参考になります。・・・」

田中哲二 太田高校同窓会 金山会長挨拶
元日銀幹部だけあってそのお話。昨年は黒田総裁に会った出口戦略の話でしたが、
今年は仮想通貨の話。
「仮想通貨は貨幣の体をなしていません。投機です。」
確かに問題は多いように思えます。しかし、将来的には、十分管理されて安全便利な仮想通貨がグローバルに普及するかもしれません。

他、宮地会長、森泉校長、館林の小林信夫会長などがご挨拶。


講演












佐藤寛之先生
2003年 平成15年 信州大学工学部卒。
2009年 同大学院 システム開発工学工学博士。
2009年 電気通信大学 大学院
      人間コミュニケーション学科 助教。
2016年 人工知能先端研究センター准教授
佐藤講師
演題「人工知能に関する最近のトピックス」

 野村の感想と説明---大変専門的なお話でしたが、時機を得ています。講師のお話を録音したわけではないので、簡単なメモを元にさらに調べて、野村の責任でAI をまとめてみました。
・古代人でも人間の知能の素晴らしさは感じていた。究極は神を人の手で作り上げたいという欲望があった。これが AI の起源という説もある。
・1956年にダートマス大学(米国の小規模で優秀な古い大学)で会議が開かれた。知的マシンは我々の世代に出現すると予測された。人間の脳の研究にも向かった。
・1970年代初めに、スタンフォード大学で 5~6 年かけてMycin(マイシン)というエキスパートシステム(専門家の知識を蓄積体系化)が開発された。伝染病の血液疾患に抗生物質を投与する量などに関わる研究で、成果はあった。しかし、ミスがあったら誰が責任を取るのかなどいろいろ批判もあって、米英の政府は出資をやめた。
・1980 年、日本の行政機関の夢想的な発案があり、官民は500億円の出資をした。しかし、成果が上がらず、出資者は幻滅して1980年代末には出資を撤収した。
・このように研究初期には夏の時代と冬の時代が交互にあった。
ニューラルネットワーク(神経回路網)-- 神経学の成果は、脳は神経細胞のネットワークであり、すべてかというパルスで点火されることが分かった。デジタル信号、0か1 かである。
・GPGPU==GPU の演算資源を画像処理以外の目的に応用すする技術。GPU とは 3D グラフィックスを表示する技術。(超高速並列は特に専門的な話でした)
デーブラーニング(深層学習)—神経回路網に関係します。
・進化的計算・アルゴリズム—新幹線 700系の設計に生かされた。人間を超えている。
ビッグデータの蓄積と深層学習の進歩もあり、AI は進化を続けている。
・チェス、将棋などで AI は使われている。チェスは一秒に 2 億手を考える。将棋もコンピュータの進化で数億手を一秒で考える。
・AlphaGo(アルファ碁)は、Google DeepMind によって開発されたコンピュータ囲碁プログラムである。3000万手を読み込み、さらに 3000万局を読み込んだ。深層学習による特徴の抽出を行った。
バーチャル学習--映像技術の進化もあり、仮想の空間を作り出し、様々な状況を効率よく学習できる。航空機操縦などでは、安く危険を回避して学習できる。100万倍の効率を望める。
・自動車の自動運転技術は急速に進んでいる。2030年には完全な自動運転が完成するといわれている。昨日(2018.8.27)は東京でタクシーが客を乗せて自動運転で 5 キロを走り、1500円の料金をもらった。世界最初の出来事でした。
・そして、未来は?—2045年問題が出てきた。技術的特異点、シンギュラリティです。AI が人間を超えます。何が起こるか予測不能です。
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 野村は NHK の教育教養番組関連の仕事をお手伝いしていたので、今でも良い番組の録画魔です。質の高いコンテンツは探せばたくさんあります。雑多な番組の中から良いものを選ぶ能力も大切です。NHK の AI 関連の番組を見ました。
今は第 4 次産業革命。AI の進化はバラ色の世界をもたらすという人意見もあった。
①蒸気機関 ②電気 ③コンピータ ④インターネットや AI と進化しました。100 年のスパンなので、今は3.5次革命という考えもあります。 コンピュータは自動化に貢献。第4次は自律化に貢献する。
 牛の体にチップを入れておくと、繁殖、病気、行動などすべてが見ずして管理できます。働く人の 47%は AI に替えられる。例えば料理人の98%はAI でできる。
AI がさらに進歩したとき、人の役目はどうなるか。中間層の事務的仕事は少なくなる。肉体労働と知能的仕事は増える。産業革命は文明を高めたが、経済格差を大きくしたという意見もある。人口の多いアジアでは、雇用不安が起きる。新しい仕事を考えれば良いという意見もある。
 すでに戦争・紛争には AI が使われている。ロボット兵器、無人の航空機や戦車は大まかな対象へ攻撃して民間人をも殺戮している。コンピュータ、カメラ、レーザー、銃を積んでいる。
 アフリカなどの紛争地では大国がすでにドローンで攻撃している。たとえばカラスに扮して。
 シンギュラリティの可能性と脅威を考えると同時に、喫緊の問題は地球温暖化問題。海水温の上昇で、雨、台風など過激になっている。人口が増えすぎ、エネルギー消費が莫大になっているからです。大洋にはプラスティックゴミがあふれ、紛争は絶えず、多くの人々が犠牲になっている。
この問題は人類生存の重大課題です。AI で解決されるのでしょうか。
落合勇一先生
1965年 昭和40年3月 桐生高校卒。
1969年 東京教育大学理学部物理学科卒。
1976年 同学理学博士(筑波大学)。
同学の技官 助手 講師 大学院講師(半導体物性特論)
1992年 千葉大学工学部助教授
1997年教授
2013年 グランドフェロー
落合講師

演題「桐高から つくば 千葉への旅路
      —カーボンナノチューブのことなど」


C60 カーボンナノチューブ DNA に電気を流す 朝永振一郎先生のことなど
 C60-フラーレン は、閉殻空洞状の多数の炭素原子のみで構成されるクラスターの総称である。共有結合結晶であるダイヤモンドおよびグラファイトと異なり、数十個の原子からなる構造を単位とする炭素の同素体である。呼び名はバックミンスター・フラーの建築物であるジオデシック・ドームに似ていることからフラーレンと名づけられたとされる。最初に発見されたフラーレンは、炭素原子 60 個で構成されるサッカーボール状の構造を持ったC60 フラーレンである。(フリー百科より)
               図はC60 の棒状モデル→
カーボンナノチューブ、ハイパーダイヤモンドなどと関わる。
HIV 特効薬、遺伝子治療、化粧品、n 型半導体、ボールベアリングのような潤滑などに応用できる。
 野村--かなり高度、専門的なお話でした。日本のカーボン技術は高い。




フラーレンとは異なりますが、大型旅客機の機体は日本の技術がないと作れません。地球温暖化ガスを減らす為に機体の軽量化が進んでいます。炭素繊維強化樹脂などです。エンジンの部品は熱に強いニッケル合金を使っていますが、これも軽くするために日本でしか作れない高度の技術を要するSic(炭化ケイ素)繊維が使われるようになり、機体は大幅に軽くなっています。きわめて難しい製造技術で高価です。改良が望まれます。
↑カーボンナノチューブは、炭素によって作られる六員環ネットワークが単層あるいは多層の同軸管状になった物質。炭素の同素体で、フラーレンの一種に分類されることもある。(ウイキペディアより。野村はこのフリー百科に寄付金を払っています。)

朝永 振一郎 日本の物理学者。 場の量子論を一新した。超多時間論を基に繰り込み理論の手法を発明、量子電磁力学の発展に寄与した功績によってノーベル物理学賞を受賞した。教育大学学長(現 筑波大) 落合先生が学んだ大学です。